誘導負荷を含むダイオード整流回路

 

回路の動作原理

単相ダイオード整流器は、交流電圧入力を直流電圧出力へ変換します。回路内の電力は、入力源である交流電圧(系統側)から、直流電圧出力(負荷側)への単一方向に流れます。2つの転流ダイオードを組み合わせたフルブリッジ整流回路になります。回路の動作は電圧源の状態に依存します。(簡略化のため「Ls」「 Rs」「Ld」の影響は無視します。)

  • 「正:+」の半周期: ダイオードD1とD2が導通する間、ダイオードD3とD4は逆止状態になります。「正:+」の系統電圧(交流電圧入力)が、負荷抵抗上に「正:+」の電圧を誘導します。
  • 「負:-」の半周期: ダイオードD3とD4が導通する間、D1とD2は逆止状態になります。「正:+」の電流がダイオードD3、D4に流れるため、負荷抵抗の電圧は再び「正:+」になります。

4つのダイオードを組み合わせることによって、下記式で定義される平均直流電圧(Vdc)と、交流入力電圧(Vgrid)を全波整流します:

average output voltage
インダクタ(コイル)の影響

系統電圧が「正:+」の半周期の条件であれば、ダイオードD1、D2が導通します。インダクタ「Ls」、「Ld」が電流を維持しようとするため、ダイオードのペアD1/D2と、D3/D4が導通し、直流電圧が「0V」と交差します。この2組のダイオードが導通している時間が、電流の転流間隔と呼ばれます。4つのダイオードの順電圧は「0V」に設定されているため、2組のダイオードが電流を転流している間の直流電圧は「0V」になります。

負荷側に直列接続で配置されたインダクタ:Ld と抵抗器:Rd の組み合わせは、出力電圧のリップルを低減する1次ローパスフィルタとして機能します。

シミュレーションモデルでの実験

  • 電圧源側のインダクタ:Lsのインダクタンスを、「100 μH」から「500 μH」へ変更して、電流の転流間隔の増加を確認して下さい。
  • 負荷側のインダクタ:Ldのインダクタンスを、「20 mH」から「100 mH」へ変更して、出力電圧のリップル低減を確認して下さい。