単相サイリスタ整流回路

 

回路の動作原理

単相サイリスタ整流器は、交流電圧入力を直流電圧出力へ変換します。電力の流れは、交流側と直流側の双方向に発生します。回路の動作は、交流電圧源の状態と2パルス生成器の点弧角αに依存します。この動作原理説明では簡略化のため、電源インダクタンス「Ls」の影響は無視しています。

  • α = 0°: サイリスタの点弧角が「0」の場合、回路は「誘導負荷を含むダイオード整流回路」と同様の動作をします。
  • 0° < α < 90°: サイリスタの点弧角が「0」以上の場合、サイリスタには、「正:+」の逆止電圧が発生しています。これにより直流電圧は、「負:-」になり、平均負荷電圧「Vload = 0.9・Vs,rms・cos(α)」の値が降下します。
  • 90° < α < 180°:電力が、直流側から交流側に流れるインバータモードで動作します。

電源インダクタ(Ls)と負荷電圧(Vload)の影響

  • 単相ダイオード整流器と同様に、電源インダクタンス(Ls)が「0」以上の場合、2組のサイリスタペアT1/ T2と、T3 / T4間で電流の転流が発生します。この転流間隔には、サイリスタの点弧角αが加算されるため、平均負荷電圧がさらに降下します。
  • 負荷電圧が上がると、インダクタに流れる電流量が減少します。定常状態のDC/DCコンバータと同様に、負荷インダクタ(Ld)を流れる電流が「0A」の場合は不連続導通モード(DCM)で動作し、電流が「0A以上」の場合は、連続導通モード(CCM)で動作します。

シミュレーションモデルでの実験

  • 電源インダクタンス(Ls)とサイリスタ点弧角αを「0」に設定して、定常解析(Steady-Stateボタン)を実行して下さい。出力結果が「誘導負荷を含むダイオード整流回路」の電源インダクタンス「Ls = 0 H」の条件から得られる結果と、完全に一致することを確認して下さい。
  • 負荷インダクタンス:Ld = 100 μH、サイリスタ点弧角:α = 45°、負荷電圧:Vload = 150 Vに設定して、定常解析(Steady-Stateボタン)を実行して下さい。負荷電流が定常状態で「0A」になっているか確認して下さい。-コンバータは不連続導通モード(DCM)で動作しています -
  • サイリスタの点弧角:α > 45°、および電源インダクタンス:Ls>100μHの条件で、出力電圧が降下することを確認して下さい。