熱回路

スイッチング損失および導通損失の算出

Heat sink

熱マネジメントは、パワーエレクトロニクスシステムの設計において重要な項目です。 近年のパッケージ集約化により、パワエレ機材の小型化および電力密度の増加が進み、より重要な問題となっています。 PLECS では、電気回路設計の上流工程において、熱シミュレーションを組み込む事によって、 各適用分野における適切な冷却手法を、設計初期段階から検討することが可能です。 PLECS では理想スイッチを使用して損失を算出するため、シミュレーション速度にも影響を与えません。

PLECS では、パワー半導体のスイッチング損失として、スイッチング時に生じる、 各素子の詳細な電流・電圧値(非定常)を用いる代わりに、 パワー半導体の、各スイッチング条件における動作特性をパラメータとして、 予めテーブル入力(順電流、耐圧電圧、ジャンクション温度)により設定し、シミュレーションに適用します。 3D-ルックアップ・テーブルにより入力される、このパラメータ値は、スイッチング時のエネルギー(電力)損失として参照されます。 パワー半導体スイッチング・デバイスが、ターン・オン条件になると、デバイスの電流値と温度値により、電力損失は算出されます。

PLECS は、理想スイッチによる電気回路シミュレーションと、詳細な損失パラメータを組み合わせることによって、 高速かつ正確で、効率的な電力損失シミュレーションを可能にします。 3D-ルックアップ・テーブルの損失データは、PLECS に実装されている熱設定ファイル・エディタによって、 視覚的に編集・確認することが可能です。

ヒートシンクの概念

熱シミュレーションを実行するうえで、最も重要な熱回路コンポーネントは、半透明な青色で表示されるヒートシンクになります。 ヒートシンクは、ヒートシンクにより囲まれた境界内のコンポーネントから生じる熱損失を全て吸収すると同時に、 ヒートシンク内を等温条件にするために、各コンポーネントへの温度伝播もおこないます。

熱等価回路

あるヒートシンクから他のヒートシンク、もしくは雰囲気温度への熱伝達は、 ヒートシンクに接続された、熱等価回路の、熱抵抗および熱容量によってモデリングされます。 必要であれば、より詳細な熱伝達モデルを実装し、 複雑な熱伝達システムを検討することも可能です。

半導体熱設定ファイルの入手

いくつかの半導体メーカーからPLECSで使用する 熱設定ファイル が提供されています。