半導体素子

Optimized Models for Maximum Speed and Accuracy

Inside an IGBT module

理想スイッチモデル

PLECSのパワーエレクトロニクス回路で用いられるパワー半導体素子モデルは、 基本的に「理想スイッチによるモデリング」を前提として開発されています。 理想スイッチのモデリングでは、スイッチが閉じた「ターン・オン」の状態になると、 完全な短絡条件(Ron = 0)となり、スイッチが開いた「ターン・オフ」の状態になると、 理想的な開回路条件(Roff = ∞)となり、スイッチの状態は瞬時に切り替わります。 理想スイッチをモデリングに採用する利点として、「簡単操作・ロバストな計算・計算時間の短縮化」といった、3つの優位性が挙げられます。

簡単操作

パワーエレクトロニクスシステムにおいては、ほとんどの場合で、 理想スイッチを使用したシミュレーションで、十分な成果を得ることができます。 システムレベルのシミュレーションでは、理想スイッチを使用することによって、 デバイスレベルの詳細な物理パラメータ値を算出する手間が省け、 トップダウン設計が可能になります。 半導体素子の寄生効果を検討する場合は、 ビヘイビアモデルを使用することによって、 スイッチの浮遊容量を考慮したシミュレーションも実行可能です。

ロバストな計算性能

ビヘイビアモデルには、SPICE等で採用されているデバイスレベルの物理モデルと比べ、数値的安定性の問題がないため、 PLECSの半導体素子モデルは、数値不安定性を抑制するためのスナバ回路や、固定ステップソルバを使用する必要がありません。 PLECSは、可変タイムステップソルバが正確なスイッチングイベントを検出しますので、 高次のソルバを選択して、stiff/非stiff回路のシミュレーションを、高精度で実行可能です。

高速な計算

従来の電気回路シミュレータで、スイッチング過渡現象を計算する場合、 非常に小さな時間刻みを、強制的に適用することになり、計算負荷が高くなります。 PLECSは、スイッチの開閉は瞬時に動作する理想スイッチを採用しているので、上記の問題が発生しません。 下図に示すように、スイッチングイベントは、2ステップで再現されるため、計算時間の短縮化が可能になります。 特に、PLECS Standaloneには、高度に最適化されたPLECSソルバが実装されているため、 超高速シミュレーションを実行することが可能です。

ビヘイビアモデル

PLECSには、理想スイッチモデルに加えて、 ダイオードの逆回復モデル、スイッチング時の電流変化率(di/dt)を考慮したIGBTモデルといった、 パワー半導体の動的寄生効果を検討するスイッチモデルが実装されています。 これらのスイッチモデルをシミュレーションモデルに適用することによって、 浮遊容量の影響により、各素子に生じる致命的な過電圧を予測することが可能になります。