効率的なマイクロコントローラ・ペリフェラル・モデリング

近年のパワーエレクトロニクス・システムを制御するためには、マイクロ・コントローラ(マイコン)は、必要不可欠な存在です。通常、システムレベルのシミュレーションでは、効率化のため、ペリフェラル・モジュールは簡略化されます。この例題では、効率的な精密ペリフェラル・モジュールのモデリング方法、および、PLECSに精密モデルを適用してパワエレシステムをシミュレートすることの利点を解説します。

PLECSのような回路シミュレータで、システムレベルの電力制御をモデリングする場合、制御アルゴリズムのモデリングに関心が集中します。したがって、シミュレーションの全体的な効率/計算速度向上のため、マイクロコントローラユニット(MCU)のペリフェラルは、通常は、理想化(簡略化)されます。実際、アナログ/デジタル変換(ADC)のペリフェラル・モジュールは、シンプルなサンプル/ホールドブロックを用いてモデリングされる場合が多く、基本的なパルス生成器は、パルス幅変調(PWM)波形を出力します。これらの理想化(簡略化)モデルと、実際のペリフェラル・モジュールを比較すると、非常に大きな機能的制限が存在します。実機に対するシステムモデルの再現度が低い場合、電力制御にとって必要な情報の欠落によって、不正確なシミュレーションが実行されてしまいます。さらに、理想化ペリフェラル・モデルに実装された制限付き機能では、複雑な変調、サンプリング等をモデリングすることが不可能な場合もあります。

例えば、PWMモジュールには、異なるイベントタイミングで、フレキシブルに、ADCモジュールのトリガ信号を割り込みする(SOC)機能が実装されていますこの機能によって、大電流/電圧リップルが存在するシステムでも、任意のPWM波形のタイミングで、ADC入力をサンプリングすることが可能になります。PWM/ADCモジュールは、実機のシステムで実行されるのと同様に、トリガによって、割り込みを制御することが可能です。さらに、精密ペリフェラルモデル(HFPMs)を適用すると、PWMとADCがシステム全体に与える影響を確認可能になります。詳細なペリフェラルモデルを利用することによって、マイコン(MCU)に実装される機能が再現され、より正確に複雑な制御ロジックを検証することが可能になります。しかしながら、このようなペリフェラルモデルは、シミュレーション時間に与える影響が最小限となる、最も効率的な手法で実装することが重要となります。

また、精密ペリフェラルモデル(HFPMs)の利点を示すため、この電流制御降圧コンバータは、テキサス・インスツルメンツ社の「Type 0 ePWM」と「Type 2 ADC」ペリフェラルモジュールを使用してモデリングしています。このモデルでは、PWM分解能/サポート機能の制限がないペリフェラルモデルを用いて、システムレベルのシミュレーションで、効率的な統合モデルの作成しています。

ファイル実行環境

PLECS Blockset

  • PLECS Blockset 3.5 以降
  • MATLAB 7.5 (R2007b) 以降

PLECS Standalone

  • PLECS Standalone 3.5 以降

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