ライセンスサーバーとの接続問題をトラブルシューティングするにはどうすればよいですか?

問題: 

ライセンスサーバー管理者がPLECSライセンスサーバーを設定しましたが、ユーザーがクライアント端末でPLECSを起動しようとすると、次のいずれかのエラーが表示されます:

  • Cannot connect to license server system.
    (ライセンスサーバーシステムに接続できません)
  • License server machine is down or not responding.
    (ライセンスサーバーマシンが起動していないか、応答していません)
  • The desired vendor daemon is down or not responding.
    (ベンダーデーモンが起動していないか、応答していません
  • Cannot read data from license server system.
    (ライセンスサーバーシステムからデータを読み取れません)
  • Invalid returned data from license server system.
    (ライセンスサーバーシステムから応答が無効です)
解決手法: 

上記エラーメッセージは、クライアント端末で使用するPLECSが、サーバー端末で動作するライセンスマネージャーやベンダーデーモンと通信できないことを示しています。エラー原因としては以下が考えられます:

  • サーバー端末が起動していない
  • ライセンスマネージャーが起動していない
  • ファイアウォール設定によって、クライアント端末とサーバー端末間の通信が遮断されている

下記手順により、これらの問題を確認可能です。

ライセンスサーバーの実働状態を確認

ライセンスサーバーのデバッグログファイルを確認して下さい。デバッグログファイルの確認方法が判らない場合は、インストール手順を確認してください(確認方法:Windows環境Linux環境)。

ライセンスサーバーが正常に起動すると、次のような記述がライセンスマネージャーに表示されます(SLOGは省略):

12:32:10 (lmgrd) FlexNet Licensing (v11.13.1.3 build 176543 x64_n6) started on AMPERE (IBM PC)
12:32:10 (lmgrd) Copyright (c) 1988-2015 Flexera Software LLC. All Rights Reserved.
12:32:10 (lmgrd) World Wide Web:  http://www.flexerasoftware.com
12:32:10 (lmgrd) License file(s): C:\PLECS_License_Manager\plexim.lic
12:32:10 (lmgrd) lmgrd tcp-port 27000
12:32:10 (lmgrd) Starting vendor daemons ... 
12:32:10 (lmgrd) Starting vendor daemon at port 51112
12:32:10 (lmgrd) Using vendor daemon port 1702 specified in license file
12:32:10 (lmgrd) Started plexim (pid 2644)
12:32:10 (plexim) FlexNet Licensing version v11.13.1.3 build 176543 x64_n6
12:32:12 (plexim) Server started on AMPERE for:	plecsedit	
12:32:12 (plexim) EXTERNAL FILTERS are OFF
12:32:12 (lmgrd) plexim using TCP-port 51112

ライセンスマネージャーとベンダーデーモンが、ダウンロードページで公開されている適切なバージョンに更新されていることを確認して下さい。 (ライセンスマネージャーを他ソフトウェアと共有している場合、不適切なバージョンを使用している場合があります)

上記デバッグログファイルに記載されている太字で強調表示されているポート番号は、トラブルシューティングで必要になります。

デバッグログファイルに下記が記載されている場合、まずこの問題を対処する必要があります。

12:32:12 (lmgrd) plexim exited with status 34 (Invalid host)
12:32:12 (lmgrd) Please correct problem and restart daemons

クライアント端末のライセンスファイル確認

クライアント端末用ライセンスファイル「network.lic」の記述は以下になります:

SERVER <licenseserver> ANY <port>
USE_SERVER

ここで、<licenseserver> の記述部分は、IPアドレスまたはホスト名(単純名または完全修飾ドメイン名:FQDN)を指定する必要があります。IPアドレスを指定する場合は、ライセンスサーバー端末のIPアドレスを記述して下さい。ホスト名を指定する場合は、クライアント端末がライセンスサーバー端末の名称からIPアドレスを認識可能であることを確認して下さい。これは、WindowsコマンドプロンプトのNSLOOKUPコマンド、macOSのターミナルアプリ、またはLinuxのターミナルで確認可能です:

> nslookup <licenseserver>
Server:  <something>
Address: <something>

Name:    <licenseserver>
Address: <IP address>

クライアント端末がサーバー端末を認識できない(Non-existent domain)、または NXDOMAIN の応答を受信した場合は、ネットワーク管理者に連絡するか、クライアント端末のライセンスファイルに記述したホスト名をIPアドレスへ変更して下さい。

上記 <port> の記述部分はオプションになります。省略した場合、lmgrdのTCPポート(上記デバッグログファイルに記述されている)は、自動で27000~27009の範囲で設定されます。<port> を指定する場合、lmgrdのTCPポートと一致するポート番号を指定する必要があります。

クライアント端末とライセンスサーバー端末TCPポートとの接続確認

クライアント端末でTELNETコマンドを使用して、ライセンスサーバー端末上でライセンスマネージャーとベンダーデーモンが使用するTCPポートにクライアント端末が接続可能を確認して下さい。Windows環境の場合、Telnetクライアントを有効にする必要があります(Windows 7:Telnetクライアントの有効化Windows 10:Telnetクライアントの有効化を参照)。Telnetが有効な状態で、下記コマンドを入力して下さい(ポート番号27000、51112を、lmgrdおよびpleximデーモンが参照する実際のTCPポート番号に変更して下さい):

> telnet <IP address> 27000
> telnet <IP address> 51112

Windowsの場合、接続が成功すると、コマンドプロンプトウィンドウが空白になります。 EnterまたはCtrl-Cキーを押すと、接続が終了します。

macOSおよびLinuxでは、接続が成功すると下記文言が出力されます:

Trying <IP address>...
Connected to <IP address>.
Escape character is '^]'.

Ctrl-CまたはCtrl-]キーを押して、quitコマンドを実行すると、接続が終了します。

上記コマンドの確認で、接続エラーが表示される場合は、ネットワーク環境に問題があります。おそらく、接続を遮断するファイアウォールが原因ですのでネットワーク管理者に連絡してください。

他の検討事項

上記全ての診断手順にエラーが発行しない条件で、PLECSが接続エラーを報告する場合は、下記2つの問題点のいずれかが該当する可能性があります。

  • ​​同じサーバー端末上で動作する他のライセンスマネージャーと競合する
    1つのサーバー端末上でソフトウェアリビジョンが異なる複数のライセンスマネージャーを実行している場合、2つのライセンスマネージャーが同じTCPポート番号を使用する場合があります(1つはIPv4用で、もう1つはIPv6用)。この場合、クライアント端末が異なるライセンスマネージャーに接続する可能性があります。
    この問題を解決するには、ライセンスマネージャーlmgrdとベンダーデーモンに専用のポート番号を設定して下さい。設定詳細に関しては、インストール手順を確認してください(確認方法:Windows環境Linux環境)。
  • ネットワーク通信遅延によるTCPセッションのタイムアウト
    デフォルト設定では、クライアント端末とライセンスサーバー端末間のTCP接続は0.1秒後にタイムアウトします。ネットワークの通信速度が遅い場合、またはクライアント端末とサーバー端末の設置場所が物理的に離れている場合、この設定時間は短すぎる可能性があります。 Windows端末では、環境変数 FLEXLM_TIMEOUT を使用してTCPタイムアウトをマイクロ秒単位で指定可能です。
    タイムアウト時間を1秒に変更するには、FLEXLM_TIMEOUT を 1000000 に設定して下さい。

問題は解決しましたか?

上記トラブルシューティングで問題が解決しない場合は、PLECS技術サポート窓口に連絡して下さい。

その際は、必ず下記情報を送って下さい:

  • ライセンスサーバー端末にインストールされているサーバー用ライセンスファイル「plexim.lic」
  • ライセンスサーバー端末のデバッグログファイル
  • クライアント端末にインストールされたクライアントライセンスファイル「network.lic」
  • クライアント端末で表示されるエラーメッセージ
  • 上記のトラブルシューティングの手順