Designing Complex Magnetic Components
コイルおよび変圧器は、近年のパワーエレクトロニクス回路において、最も主要な回路構成要素と言えます。 これらの回路要素は、他の受動素子に比べ、下記理由により、モデリングが困難です:
- 複数コアを持つ変圧器のような磁気回路要素は、複雑な構造体によって構成される。 磁性コア内の磁束は、異なる磁性特性により発生する複数の磁路へ分岐する。 さらに各コアの磁束には、それぞれ異なる漏れ磁束が発生する。
- 軟鉄やフェライトといった磁性コアは、極めて非線形の強い挙動を示す。 磁束密度が高い条件で、磁性コアは飽和するが、その際、インダクタのインピーダンスが大幅に減少する。 さらに、ヒステリシス効果と渦電流によって、周波数依存の損失が発生する。
PLECSは、パーミアンス容量モデルを採用した磁気ドメインで、磁気回路要素を使用します。 巻線、磁性コア、エアギャップ等の基本的磁気回路要素は、コンポーネントライブラリに実装されています。 物理的な構造に対応して、それらの磁気回路要素を接続することにより、 任意の磁気等価回路を作成します。 磁性コアモデルには飽和/ヒステリシスコアが含まれています。 周波数依存性の損失は、磁気抵抗を使用することによってモデリング可能です。 巻線が、電気-磁気ドメイン間のインターフェイスとなります。
可飽和インダクタや単相変圧器といった、複雑ではない磁気回路要素は、 電気ドメインでモデル化することも可能です。
適用事例: Cukコンバーター
磁気等価回路を用いて絶縁型Cukコンバータをモデリングしています。 巻線間の適切な磁気結合によって、コンバータはリップル無しの入出力電流で動作します。
磁気等価回路はエアギャップを介したEコアの形状でモデリングされています。